2005年12月10日

シュレーダー前首相は現役時代に、ロシアのプーチン首相と緊密な関係を持ち、特にロシアからの天然ガスの購入について積極的に後押しをしてきました。昨日ロシアからドイツまで天然ガスパイプラインを建設する巨大プロジェクトの起工式が行われ、両国のエネルギー関係企業(ドイツ側からはEONとBASF)や政治家が式典に参加しましたが、シュレーダー氏が新しいエネルギー・コンソーシアムの監査役会の会長に就任することが決まりました。緑の党などの野党議員からは、天然ガスプロジェクトを現役時代に後押しした首相が、会社の要職に就くことについて、「不当な天下りだ」と批判する声も出ています。

シュレーダー政権では、EONがドイツ最大の天然ガス販売企業であるルールガスの買収について、連邦カルテル庁などの反対を押し切って、経済省が大臣許可を下しました。その時に大臣だったミュラー氏が、EONの関連会社であるRAGの社長になったり、経済次官が別の関連会社の社長になったりするなど、「おいしい天下り」の事例には事欠きません。シュレーダー氏の再就職も、議員辞職からまだ1ヶ月も経っていないだけに、ちょっと生臭い気がいたします。

私は一度だけシュレーダー氏との懇談会に出席したことがありますが、社会民主党の政治家というよりも、大手企業の敏腕役員という雰囲気の方が強かったことを覚えています。今後彼は、ロシア、中東欧、中国とのビジネスの尖兵として、活躍するに違いありません。

彼は最近イギリスの片田舎の修道院に2週間にわたりカンヅメになり、英語の個人レッスンを受けて会話能力に磨きをかけたということですから、本人もやる気まんまんのようです。